
- 弁護士の選び方は?
- どのような基準で選べばいい?
とお悩みではないでしょうか。
急速に広まるIT技術の普及によって、今では顧問弁護士でさえも地域に縛られることなく選べるようになりました。その結果、選択肢が豊富に存在するようになり、適切な顧問弁護士を選ぶことは企業にとって大きな課題となっています。
そこで、この記事では、顧問弁護士の選び方におけるポイントや失敗例、さらにはメリットやデメリットなどを詳しく解説します。また、契約する際に見逃してはならない注意点にも触れるため、ぜひ最後までご一読ください。
顧問弁護士とは

顧問弁護士とは、企業や団体と継続的な契約を結び、法律問題全般についての相談および適切なアドバイスを提供する弁護士のことです。
企業経営において、法律問題は避けて通れない課題であり、トラブルが発生してから弁護士に相談するのでは手遅れになることもあります。そこで、日ごろから弁護士と連携し、適切な法的対応を行うためにこの顧問弁護士と契約します。
顧問弁護士の仕事内容はどこまで?
顧問弁護士の主な仕事は、法律相談に乗ることです。日常的に発生する法律問題について、適切なアドバイスを提供します。
それだけでなく、以下のような幅広い業務に対応します。
- 雇用問題
- 債権回収
- 契約書の相談・作成
- 社内規程・ルール整備
- 経営改善・再建・資金繰り
- 事業承継
- クレーマー対策
- 債権管理・保全
- 知的財産権の問題
- 総会、役員会の運営
- 課税問題
- 商品・製品トラブル
- M&A
- ハラスメント等社内問題
- 下請・不公正取引
- 海外取引
- 詐欺・悪徳商法問題
- インターネット問題
- 海外進出
- 海外トラブル
- その他
顧問弁護士は、まさに企業経営に関わるあらゆる法律問題に対応してくれる心強い存在です。トラブルが発生した際の事後対応だけでなく、トラブルを未然に防ぐための予防法務にも力を発揮します。
社内規定の整備や契約書のチェックなど、日ごろから顧問弁護士と連携することで、法的リスクを最小限に抑えることができるのです。法律の専門家として、そして経営のパートナーとして、顧問弁護士とともに会社の発展を目指していきましょう。
顧問弁護士の探し方は主に2つ

代表的な顧問弁護士の探し方は、主に以下の2つが挙げられます。
- 友人・知人からの紹介
- インターネット検索
友人・知人からの紹介
信頼できる友人や知人から弁護士を紹介してもらうのは、顧問弁護士を探す上でも選びやすい方法の1つです。
メリット | デメリット |
---|---|
紹介者の経験に基づいた信頼性の高い情報を得られる | 紹介者が知っている弁護士に限定される |
弁護士の人柄や仕事ぶりを事前に把握できる | 企業の業種や規模に合った専門性を持つ弁護士が見つかりにくい |
紹介者を通じてスムーズにコンタクトを取れる | 個人的な関係が業務に影響を与える恐れもある |
この方法を選びやすいのは、個人事業主や小規模企業です。起業した個人がこれまでのビジネス人脈から弁護士を探したり、小さな会社が代表者の知人弁護士に依頼したりするケースがこれに当てはまります。
大企業であれば社内や取引先に弁護士がいる可能性もありますが、専門性の観点から選びにくいこともあるでしょう。
インターネット検索
オンラインで弁護士を探すのは、手軽で幅広い選択肢を比較できる方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
多数の弁護士の情報を短時間で収集できる | 情報の信頼性を自分で判断する必要がある |
弁護士のWebサイトやブログから専門性や実績を確認できる | 実際の対応力や人柄は会ってみないとわからない |
オンラインの口コミや評価を参考にできる | オンラインの口コミや評価が必ずしも信用できるとは限らない、検索上位に表示される弁護士が必ずしも最適とは限らない |
この方法は規模を問わずあらゆる企業や個人事業主が選びやすいでしょう。起業家から中小企業、大手企業に至るまで、オンラインで広く弁護士を探すことができるからです。
特に個人や中小企業などの予算が限られているケースにおいて、コストをかけずに選択肢を比較したい場合に適しています。高度な専門性が求められる大企業は、この方法だけでなく他の方法も合わせて検討すると良いでしょう。
顧問弁護士を選ぶ際によくある3つの失敗

顧問弁護士を選ぶ際によくある失敗には、以下の3つが挙げられます。
- コミュニケーションを取らなかった
- 格安・割引ばかりを基準にした
- 専門分野を確認しなかった
コミュニケーションを取らなかった
顧問弁護士との良好なコミュニケーションは、頼りたい内容を伝えたり、問題をスムーズに解決したりする際に不可欠です。コミュニケーションが困難な弁護士からは、適切なアドバイスを得られません。
弁護士は専門用語を避けて、平易な言葉で丁寧に説明してくれるかを見極めましょう。一方、企業側も積極的に質問し、疑問点を解消する必要があることから、傾聴の姿勢があるかも見ておくと安心です。
格安・割引ばかりを基準にした
報酬額の安さだけを重視して顧問弁護士を選ぶのも、よくある失敗かつ危険な方法です。格安サービスでは、提供される内容が限定的で、適切な法的支援を受けられないおそれがあります。例えば、電話ですぐに質問できないといった具合です。
トラブル発生時の対応が不十分だと、企業は大きな損失を被ることになりかねません。適正な報酬額であり、必要なサービスを確実に受けられる顧問弁護士を選ぶことが賢明です。
安かろう悪かろうにならないよう、料金体系とサービス内容をよく確認しましょう。
専門分野を確認しなかった
顧問弁護士の専門分野を見極めることは、専門知識・知見に基づいたアドバイスを得るために必要です。業界常識に精通していない弁護士では、的確なアドバイスが得られないでしょう。
例えば、契約書の作成や交渉、コンプライアンス対策など、特定の領域で求められる法的サポートを受けられるか、事前に確認が必要です。
取引先の倒産時の対応や債権回収の場面では迅速な対応が求められることもあり、破産管財人としての実務経験の有無が大きく影響することもあります。弁護士の経験や実績を吟味し、判断できない場合は直接聞くことが大切です。
顧問弁護士の選び方における6つのポイント

顧問弁護士の選び方で押さえておきたいポイントは、以下の6つです。
- 自社関連の領域で経験は豊富か
- 手軽に・継続的に連絡を取りやすいか
- トラブルへ迅速に対応してもらえるか
- 説明はわかりやすく的確か
- 料金とプラン内容は適切か
- 法改正・判例を伝えてくれるか
自社関連の領域で経験は豊富か
顧問弁護士を選ぶ際、もっとも重要なポイントの1つが、自社の業界や事業に関連する法律分野での経験の豊富さです。単に経験があるだけでなく、その領域に対する深い理解があるかどうかも確認しましょう。
例えば、製造業であれば、特許法や製造物責任法などに精通しているか、ITベンチャーであれば、知的財産権法やプライバシー保護法などに詳しいかを確認します。また、自社の規模や実績に見合った企業法務の経験や実績があるかも重要です。
他にも、候補者の過去の案件実績や論文、セミナー登壇歴などを確認し、自社に必要な法律分野での専門性を持っているかを見極めるのも有効です。事前に具体的な相談事例を挙げて、どのようなアドバイスができるか尋ねるのも1つの方法となります。
手軽に・継続的に連絡を取りやすいか
日々の業務の中で、法律的な問題はいつ発生するかわかりません。そのため、顧問弁護士とは、手軽に、そして継続的に連絡を取れる関係性を築くことが大切です。
連絡手段としては、電話やメール、チャットツールなど、自社の環境に合ったものを選択できるかを確認しましょう。また、問い合わせに対する弁護士のレスポンスの速さや、丁寧さなども確認したいポイントです。
さらに、対面だけでなくオンラインでのミーティングにも対応可能か、セキュアなオンラインストレージの導入など、ITツールの活用にも柔軟に対応してくれるかもチェックしておくと良いでしょう。
日ごろから気軽に相談できる、親身な対応をしてくれる弁護士を選ぶことが、円滑なコミュニケーションには欠かせません。
トラブルへ迅速に対応してもらえるか
ビジネスにおいてトラブルは、付き物です。顧問弁護士には、トラブルが深刻化する前の段階から、迅速かつ適切に対応してもらえることが求められます。
このことから、トラブルが発生した際にすぐ相談に乗ってもらえるか、初動対応の助言をしてもらえるかを確認しましょう。
また、交渉や調停、示談など、裁判に至る前の段階での解決能力も重要です。過去の類似案件での実績や対応方針などを聞いておくと、いざというときの対応力を測る材料になるでしょう。
トラブル対応は時間との勝負です。初期対応を誤ると、問題がさらに複雑化・長期化するリスクがあります。このことから、顧問弁護士選びでは危機管理能力の高さも見極めたいポイントです。
説明はわかりやすく的確か
顧問弁護士を選ぶ際、弁護士の説明がわかりやすく的確であることも重要です。高圧的な態度や専門用語の羅列では、依頼者である企業側が理解できず、適切なアドバイスを得ることができません。
弁護士の説明がわかりやすいかどうかを確認するには、実際に面談や電話相談を行い、弁護士の話し方や態度を観察することが効果的です。また、事前に準備した質問に対して、弁護士がわかりやすく回答できるかどうかも確認しましょう。
さらに、顧問弁護士からは、ときに厳しい意見を述べてもらう必要もあります。企業にとって不利な状況や、法的に問題がある場合には、弁護士が「負ける可能性がある」「その行為は駄目だ」と明確に諭してくれることが大切です。
料金とプラン内容は適切か
顧問弁護士の料金は法律事務所によって異なり、サービス内容の範囲にも違いがあります。そのため、顧問契約の範囲でどこまでチェックしてもらえるのか、詳細を確認しましょう。
例えば、契約書のレビューや作成、法的トラブルへの対応、株主総会の運営サポートなど、具体的にどのようなサービスが含まれているのかなどです。また、訴訟対応や海外法務などの特殊な案件が発生した場合の料金体系についても確認が必要です。
料金とサービス内容のバランスが適切かどうかを判断するには、複数の法律事務所の提案を比較検討する方法が有効です。なお、顧問弁護士の費用がどの程度の相場か不明な場合は、下記ページも参考にしてください。
関連記事:顧問弁護士にかかる費用相場は?”適正”を見分ける5つの基準
法改正・判例を伝えてくれるか
法律は毎年改正されており、特に労働基準法の改正は意外に多いものです。企業が最新の法律情報を把握するためには、顧問弁護士から積極的な情報発信があることも見ておきます。
法改正や重要な判例の情報を伝えてくれる顧問弁護士かどうかを確認するには、事務所が発行しているニュースレターやメールマガジンを確認することが有効です。また、事務所主催のセミナーや勉強会の開催頻度や内容も参考になります。
この情報発信により、企業は法改正に迅速に対応し、コンプライアンス体制を強化できます。このことから、顧問弁護士選定の際は、情報発信の姿勢も重要な評価ポイントの1つとなるでしょう。
顧問弁護士と契約する際の2つの注意点

ここでは、顧問弁護士と契約する際の注意点を以下の2つに分けて解説します。
- 契約期間・更新・解約
- トラブル対応
契約期間・更新・解約
顧問弁護士との契約期間を契約前にきちんと確認しましょう。また、企業のニーズに合わせて柔軟に設定できたり、自動的に更新したりする契約も存在します。
加えて、契約の更新や解約についても、明確に取り決めておく必要があります。契約の期間や更新方法、途中解約の条件を明記しておき、万が一のトラブルに備えましょう。
トラブル対応
顧問弁護士との契約では、トラブル発生時の対応についても検討しておく必要があります。例えば、顧問弁護士が突然の事情で対応できなくなった場合、代替となる弁護士を確保できるようにしておきましょう。
また、トラブルが発生した際の連絡体制や、対応の優先順位なども明確にしておくことも重要です。バックアップ体制を整えておくことで、企業は安心して顧問弁護士へ依頼できる体制を整えられるのです。
顧問弁護士との契約は、単なる法的サービスの提供にとどまりません。企業の成長と発展を支える重要な基盤であり、長期的な視点で選びましょう
顧問弁護士を選ぶメリット

顧問弁護士を選ぶメリットには、以下が挙げられます。
- 経営・ビジネスに集中できる
- トラブルを最小限に抑えられる
- 解決・交渉を有利に進められる
- コンプライアンスを強化できる
- コストを抑えられる
総じて、経営・ビジネスに集中できる環境を整え、トラブルを最小限に抑え、解決・交渉を有利に進められる体制を構築できることは、企業の長期的な成長と発展にも大きく役立つものです。また、コンプライアンスを強化することで関連リスクを回避し、安定かつ信頼性の高い運営も目指せます。
顧問弁護士を選ぶデメリット
顧問弁護士を選ぶデメリットは、主に毎月一定の顧問料を支払うコストのみです。しかし、前述したように、顧問弁護士の活用によって得られるメリットは非常に大きいものです。
このメリットを考慮すると、顧問料のコストは必要な投資と捉えることができるでしょう。案件ごとに弁護士に依頼するよりも、顧問契約を結ぶ方が長期的にはコストを抑えられることが多いことも見逃せません。
顧問弁護士の顧問料の相場

顧問弁護士の顧問料は、企業の規模や依頼内容によって異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
個人・小規模 | 〜5万円 |
中小企業 | 3〜10万円前後 |
大企業 | 7万円以上 |
顧問弁護士を選ぶ際は、単に顧問料の安さだけでなく、企業の規模や業種に合った専門性を持つ弁護士かどうかを見極めることが大切です。なお、この顧問弁護士の費用について詳しくは、下記ページもご覧ください。
関連記事:顧問弁護士にかかる費用相場は?”適正”を見分ける5つの基準
契約するタイミングの目安
顧問弁護士との契約は、以下のようなタイミングで検討するのが一般的です。
- 従業員を雇う、増やす際
- 契約・取引の増加時
- 起業したタイミング
事業拡大に伴い従業員を雇用する際は、労働関連法規の遵守が求められます。また、取引先との契約が増えてくると、契約書の作成や審査が煩雑になります。
加えて、起業時は法的な手続きが多く、専門的な知識が必要です。会社設立の手続きや各種規約の作成など、顧問弁護士のアドバイスがあれば、スムーズに事業をスタートできるでしょう。
顧問弁護士の選び方に関するFAQ
最後に、顧問弁護士の選び方に関する以下の質問へ回答します。
- 顧問弁護士はいらない?
- 顧問弁護士は遠方の人でも大丈夫?
顧問弁護士はいらない?
顧問弁護士は、企業活動には常に法的リスクが伴うことから、今後はますます必要性が増します。例えば、契約書の作成や交渉、労務管理、知的財産の保護、債権回収など、法律の専門知識が求められる場面は数多くあります。
もし法的トラブルに巻き込まれた場合、弁護士がいないと適切に対応できず、損害も拡大する恐れがあります。また、弁護士に相談することで、トラブルを未然に防ぐことも可能です。
関連記事:顧問弁護士の必要性は?費用対効果からメリット・デメリットまで解説
顧問弁護士は遠方の人でも大丈夫?
顧問弁護士は、遠方の人でも問題ありません。現代では、ZoomやGoogle Meetなどのオンラインツールの活用によって、距離の壁を越えて円滑にコミュニケーションを取ることができます。
実際、コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、オンラインでの打ち合わせや相談が当たり前になりつつあります。弁護士業界でも、オンラインを活用した法律相談やサービスが増えていくでしょう。
まとめ
顧問弁護士の選び方は、企業の成長と発展を支える重要な決定でもあります。選び方で迷ったときには、弁護士の説明力、料金とサービス内容のバランス、情報発信の姿勢、などを確認しましょう。
また、顧問契約の際には、契約期間と更新、トラブル対応などに注意を払うことも大切です。
法律事務所Sでは、個人または企業に即した料金プランをご用意し、必要に応じたサポートを提供しています。顧問弁護士選びで少しでも迷った方は、まずはお気軽にご相談ください。