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労働問題

固定残業代はどのような制度か?固定残業代を廃止,減額することはできるのか?

2022年08月25日 2025年03月22日

1 はじめに
弁護士の谷です。日頃より弊所のブログをご覧いただきありがとうございます。
近年,労働紛争が増加傾向にあり,弊所においても複数の弁護士が使用者側の労働事件を抱えております。
そんな中,毎月定額の割増賃金(残業代)を支給する固定残業代(みなし残業手当とも呼ばれます。)を採用している企業を多くお見受けします。しかしながら,最近の判例により確立されてきた判断基準の下,労働者に支給していた固定残業代が割増賃金として有効なものとして支給されていると断言できるものはあまり多くありません。
今回は,固定残業代制がどのようなものなのか触れた上で,既に固定残業代制を採用している企業がこれを廃止するためにはどうすべきかについてお話したいと思います。

2 固定残業代制とは
冒頭で触れたように,固定残業代とは,毎月定額の割増賃金(残業代)を支給する制度のことです。固定残業代の支給方法は,大きく分けて,基本給の中に割増賃金部分を組み込む方法(基本給組込型)と,基本給とは別の手当(営業手当,役職手当など)といった割増賃金に代わる手当等を定額で支給する方法(手当型)とに二分することができます。
労働基準法上,割増賃金の計算方法は法定されていますが,労基法37条は法定の計算方法によって算定された額以上の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまり,特定の支払方法を取ることまでは命じていないので,上記のように固定残業代を支給すること自体は直ちに違法とはなりません。
ただし,固定残業代として支給した額が法定の計算方法によって算定される割増賃金額を下回る場合,その差額を割増賃金として支給しなければなりませんので,注意が必要です。割増賃金算定の事務から解放されるために固定残業代を採用している企業も少なからずありますが,固定残業代を採用する場合であっても,適切に労働時間を管理した上で,法定の計算方法により算定される割増賃金額を下回っていないかどうか検証しなければならないので,事務負担軽減を目的とした固定残業代の採用はお勧めできません。
また,そもそも労基法の趣旨に合致するものではないとして,有効性が否定されてしまう固定残業代も少なからずあります。固定残業代が無効なものと判断されてしまうと,割増賃金(残業代)を支払ったことにはならないだけでなく,固定残業代として支給していた部分が割増賃金算定のための基礎賃金に組み込まれることになる結果,未払割増賃金が高額となるので,企業にとっては経済的に大きなダメージを被ることになってしまいます。

3 固定残業代の有効要件
近時の判例によれば,固定残業代が有効なものとして扱われるには,①通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができること(判別可能性),②時間外労働等に対する対価として支払われていること(対価性)の2要件が必要であると考えられます。
①判別可能性は,特に基本給組込型の固定残業代について問題になります。要するに,基本給のうち,いくらが何時間分の残業代なのかが分からないといったケースです。雇用契約や就業規則等に,例えば,「基本給30万円のうち,5万円は月20時間分の時間外労働に対する割増賃金分とする」というような定め方をしていない限り,通常の労働時間に対する賃金部分と割増賃金部分とを判別することができないとして,判別可能性が否定されることが多いと思われます。
②対価性については,手当型の固定残業代で問題になることが多いです。判例によれば,対価性が認められるかどうかは,「雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮」して判断するとされています。そのため,例えば,ある手当について,雇用契約書や就業規則上は時間外労働に対する対価として支給する旨が明記されている場合であっても,労働実態とあまりにもかけ離れているケースでは,対価性が否定される可能性があります。

4 固定残業代のメリット・デメリット
私見では,固定残業代を導入するメリットとしては,あまり残業時間が多くなくても,毎月定額の固定残業代が支給されるという意味で,労働者にとって残業時間を抑制する動機付けとなる点くらいしかないと思います。ただ,残業時間を抑制するのであれば,残業自体を許可制にする,残業なしに成果を上げたことを賞与等に反映させるなどの対応の方が効果的ではないかと思われます。また,先ほども述べたように,労働時間の管理や割増賃金の計算といった事務から解放されるわけではないので,この点はメリットとなり得ません。
他方,固定残業代を導入するデメリットとしては,固定残業代の有効性が否定された場合,割増賃金を支払ってこなかったことになるだけでなく,固定残業代として支給していたはずの金額がすべて未払賃金算定の基礎賃金に含まれることになってしまうため,企業にとって甚大な経済的ダメージが生じかねないことや,適切に労働時間を管理した上で,法定の計算方法により割増賃金を算出し,不足分がないか毎月検証しなければならないということが挙げられます。
個人的には,メリットに比して,デメリットが大きすぎると考えていますので,これから固定残業代を導入しようとする場合は,慎重にご検討いただく必要があろうかと思います。

5 固定残業代を減額,廃止することは可能か?
これまでお話したように固定残業代が無効と判断される結果,経済的に甚大なダメージを被るリスクがあることに加え,近年のコロナ禍における残業自体の減少に合わせて,固定残業代を減額したり,廃止したりすることを考える事業主の方もいらっしゃるかと思います。
しかし,固定残業代の減額,廃止は容易ではなく,慎重に手続を踏む必要があります。ここからは,固定残業代を減額,廃止するための手順について,説明します。
まず,固定残業代は割増賃金の支払方法として,労働者と事業主との間で合意した労働条件です。労働条件を変更するには,労働者と事業主との間で合意をすることが必要です(労働契約法8条)。合意により労働条件を変更するといっても,形式的なものでは足りず,労働者が労働条件の変更の内容を十分に理解していることが必要です。
そして,固定残業代の減額,廃止は,労働者からすれば,支給される賃金が減少することになり,労働条件の不利益変更となりますので,原則として,事業主は,労働者と合意することなく,就業規則の変更が諸事情を考慮して合理的なものでない限り,なし得ません(同法9条,10条)。
ここで事業主側の目線で考えると,固定残業代も割増賃金の支払方法の一つに過ぎないから,労働基準法の金額を下回らなければ,固定残業代を廃止して,実労働時間に応じた割増賃金を支払う扱いにすることは,労働条件の不利益変更に当たらず,労働者の同意を必要としないではないのか,という疑問が浮かびます。実際に,固定残業代の廃止や減額について労働者の同意を要しないと判断した裁判例もあります(東京地裁令和3年11月9日判決・LLI/DB 判例秘書登載)。
しかしながら,労働条件として事業主が労働者に固定残業代を支給する旨の合意がされていた以上,それを労働者の不利益に変更するには,合意などの法的な根拠が必要になると考えられますので,上記裁判例の判断には違和感を覚えます。まだ原典に当たることはできていませんが,上記裁判例の控訴審判決が東京高裁で令和4年6月29日に言い渡されたようで,やはり原審の判断が覆り,固定残業代は事業主が自由に減額することができるものではないと判断されたようです。
このように固定残業代の廃止,減額は,労働条件の不利益変更となりますので,労働者の同意を得るか,就業規則の合理的な変更によらなければなし得ないということになります。

6 さいごに
固定残業代には多くの法的リスクが潜む制度です。これから固定残業代を導入しようと考える場合,社内の体制を万全に整えた上で,労働者にも十分な理解をしてもらうことが不可欠です。
また,固定残業代を廃止しようと考える場合であっても,労働者の意思を無視することはできず,慎重に手順を踏んでいく必要があります。
固定残業代などの労務関係で悩みがあれば,是非一度ご相談いただければ幸いです。

法律事務所Sでは事業者を強力にバックアップする顧問サービスを提供しております。
ご質問があれば、こちらからお気軽にお問合せください。
どうもありがとうございました。

著者

シニアアソシエイト 弁護士 谷 樹人

病は放置すれば深刻化するように、法律問題もご自身で抱え続けているといつの間にか取り返しのつかないことになってしまうこともあります。弁護士は敷居が高く、相談しづらいイメージがあるかもしれませんが、どんなに些細なことでも構いません。ちょっと聞いてみようかなと思ったら、是非ご相談ください。最善の解決策が何かを一緒に見つけましょう!

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