株主の議案要領通知請求権について

みなさまこんにちは。弁護士の末広多親子です。

さて,今回は,令和3年3月1日に施行された改正会社法の内、議案要領通知請求権の見直しについてお話しさせて頂きます。

 会社法では、一定の条件のもと、株主に議案要領通知請求権が認められています(会社法第305条第1項)。

議案要領通知請求権とは、株主総会の日の8週間前(定款で短縮可能)までに、株主総会の目的である事項について、その株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知(書面でするときは記載(記録))するよう会社に請求することが出来る権利であり、株主提案権を構成する権利の1つです。

ところで、近年、1回の定時株主総会で、特定の1人の株主が、膨大な数の議案を提出し、株主総会の円滑な進行が阻害される事態が散見されております。
そして、このような濫用的ともいえる株主提案権の行使について、何らかの対処が必要性なのではないか、との議論がなされていました。

そこで、本改正では、取締役会設置会社について、株主が議案要領通知請求権を行使する場合、同一の株主総会において提出することができる議案の上限数を10個と定めました(改正会社法第305条第4項)。

ここで「議案」の数の数え方が問題となりますが、改正会社法では、当該規制における議案の個数の数え方については、下記の定めを置いています。
第一に、取締役、会計参与、監査役又は会計監査人(以下「役員等」といいます。)の選任に関する議案は、その議案の個数にかかわらず、1つの議案とみなします。例えば「取締役2名選任の件」という議題について、通常であれば、候補者1名ごとの議案が上程されている、つまり2個の議案が上程されていると考えますが、改正会社法ではまとめて1つの議案として数えます。
同様に、役員等の解任に関する議案、会計監査人を再任しないことに関する議案についても、具体的な議案の数にかかわらず、1つの議案とみなします。
第二に、定款の変更に関する2つ以上の議案については、これら複数の議案について、異なる議決がされた場合、議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合には、これを1つの議案とみなします。

また10を超える数の議案が提出された場合において、取り上げる議案の選択方法については、下記のように定められました。
第一に、株主が議案間の優先順位を設けている場合には、その優先順位に従います。第二に、優先順位が特段定められていない場合には、取締役が順番を定めて良いこととなりました。

濫用的でないものも含めて、近年は、株主による提案が増加傾向にあると言われています。
貴社にとって悩ましい株主提案がなされた場合、弁護士などの専門家を交えた慎重な対応が望まれるところです。
 貴社の円滑な株主総会運営について当事務所でお手伝いできることがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。